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映画『悪人』をDVDで観ての、善人考と悪人考

連休初日は暑いくらいの天気。そんな日の午前、というかレンタル会員更新特典で借りた映画『悪人』を観る。

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妻夫木聡深津絵里柄本明樹木希林と役者は揃った。

妻夫木がやむなく?殺人を犯し、かばう選択をした深津絵里との逃避行がメイン。妻夫木の祖母役の樹木希林もいい。

善人のふりをした悪人がいたり、悪人と気づかずに悪人になっていたり、善人のつもりがその人にとっては悪人となっていたり。人の二面性が現れたり、その移り変わりに戸惑ったり。世間の人は、もしかして誰でも悪人になりうるのかなあとか、そうじゃない人も多分いるだろうと思ってみたり。人の不完全さ、危うさ、怖さを思い知るとともに、それでもひたむきなものを手に入れたい純粋さ、そのはなかさ、もろさ、難しさも感じた。

そんな中、柄本明さん演じる、娘を殺された父親がその憤りを吐露したセリフが強く胸を打つ。

 

「あんた、大切な人はおるね? 
その人の、幸せな様子を思うだけで、自分まで嬉しくなってくるような人は…
今の世の中、大切な人がおらん人間が多すぎる。
自分には失うものがないちゅう思い込んで、そいで強くなった気になっとう
だけんやろ、自分が余裕のある人間と思いくさって、失ったり、欲しがったりする人をバカにしたうえで眺めとう
…そうじゃないとよ。
そいじゃあ人間は、だめとよ」

妻夫木の金髪が、最後までお笑い芸人のヒロシに見えていたのが、唯一の違和感。

吉田修一の原作、殺人犯とその周りの人々を描いているが、どこかに人の暖かさ、人を信じる気持ち、信じたい気持ち、人のチカラを讃えたい気持ちがあるような、冷たいばかりではない、最後には暖かさを感じる作品に仕上げている。本人曰く、最高作品というのも、うなずける。

なぜ、人は悪いことをしてはいけないのかという問いに、人は悪いことをするものだからという解があったのを思い出した。性善説を信じたいが、それだけでは説明できないからだろうが、さりとて性悪説に立つ必要もなく、性悪説を内存しながら性善説を目指す、求める、求め続けていく、そうするしかないのが人なのかもしれない。

映画館が休館している今、せめて擬似環境をということで

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電灯もつけず、最高気温28.8度の日の午前を過ごす。

見終わってカーテンを開けると、陽の明るさに驚き、善人と悪人が姿を明確に見せずに混在する世の中に戻っていった。