伊集院静のエッセイも、もう11作目。大病を患った後の、不安と安堵、それらからか、これまでよりも柔らかい文体になっている。
タイトルがそれを言い得ている。
悲しみ、苦しみの中でも、後でも、歩き出すチカラを持てることの素晴らしさ、逞しさが描かれていた。
これまでにない、大きな体験をした後だけに書けるものだろう。
悲しみが癒やされるには時間が必要と、これまでも書きていたが、癒やされたいというよりは、結果、癒やされることになるのだろう。
苦しみや悲しみを意識する事で、忘れない、という事もあるだろうが、時間の経過は、少しだけカタチを変えて物事を捉えさせてくれる。経過してみないとわからないが、それでも時間は何らかの変化、効果を与えるのだろう。
そんな事を思わせる一冊だった。