灰色の濃淡ある雲が占める今日は、山の麓の温泉地を目指す。着くと隣に弓道部の練習場があり、学生の姿が見える。
昼前のこの時間帯は、貸し切り状態。琥珀色の内湯も、タイルが乾いている。
湯面に差し込む黄金色の光が、なお琥珀を色濃く照らしている。
次にドアを開ければ、木々に囲まれた露天が迎えてくれる。岩をくり抜いた湯口からタップリと注ぎ込まれ混じり合う音と、風そよぎ葉擦れの音しか聞こえてこない中に、身をあずける。何も考えず、湯から伝わる温度と、ほほを伝う少しだけ冷んやりした風を、ただただ感じている。少し水を加え、中で混ざり合う温度を感じるのも、貸し切り状態ならではのこと。持参したクールタイプのシャンプーリンスで頭は爽快にする。
ここからメイン。着替えて、廊下を少し歩くと、今度は硫黄の匂いがたちこめる露天風呂だけの間へ。弓道部は、外でバドミントンをしているのが、葦簀越しに見える。向こうからは角度があるため見えないのに、まあ安心している。
白とミントグリーンが混じり合う湯に少し水を注ぎ、額縁のように切り取られた外の空と雲を見ながら、ここでも至福の時間を過ごす。湯のあたりが柔らかく、化粧水かのように肌に染み込む感じさえ覚える。ストレッチもし、成分をまとわりつかせてあがってきた。
ロビーで、冷えた山からの水を飲んでいると、となりフルーツのざく切りタップリのソースが出ている。黄色と紅色、どちらのフルーツがいいかと考えるも、両方!毎朝のヨーグルトに加えるのが楽しみな買い物になった。
胃腸が温められ、お腹も空いて、この日は蕎麦屋へと向かう。2時に入っても満席なのが人気店の証。トビウオ出汁のラーメンも美味しそうだが、麦切りを見つけたので、蕎麦との相盛りかき揚げを注文。
今年初の麦切りを食べる。結構ボリュームもあるのは麺だけでなく、2枚のかき揚げも同じ。厚みがありサクサクで、口の開け方を考えて入れる。
食べれば満たされるわかりやすい日曜となり、新しい豆でコーヒーを淹れたら、そよ風の中で、少しのうたた寝となった。
これからは、温泉、蕎麦に、フルーツ狩りが3点セットの、自称観光フルコースの季節に突入していく。
こんな風に過ごす一日は、明日への活力を感じて、それ以上に硫黄臭をカラダ全体から発しながら眠るのだろう。