午後も気温はうなぎ登りに上昇していった。涼しい部屋で、あらこれ読み物を漁る。
そうして、日の傾きだけは涼しくなってきた頃、墓参りに向かう。
西の空は、金色の空がオレンジを経由し、薄紫に変わっていこうとしている。
この時期に備え、父が草刈りを済ませ、花も手向けてあった。お供えのうちわ餅に、アンコまで買ってあり、水を汲んで屋敷の西から、田んぼ2枚隔てた墓地へと向かう。
温まった墓に水をかけ、線香とお供えをあげて、手を合わせる。真摯に無心になる時。
帰り道。父は数年前に農家をやめていたため、当時より田んぼに目をやることも、その成長に気をかけることも少なくなったが、脇を歩いて通るのだから、自然と目が向く。
安心を覚え敷地に戻れば、草木や石、生垣や玄関前に水を撒く。
気化熱で熱を奪われ冷やされていくのが、少しの風で感じることができる。火照ったカラダを冷やすかのように。
ふと東を見れば、透けるような月が出ていた。
そうして中に入れば、カーテンのそよぎも夕凪で止まっている。あっという間に汗をかき、この日、2度目の着替え。
落ち着いた今は、夜風を入れながら、寛いでいる。夏向き入浴剤を使うのは、あと何回だろうか。昨夜、湯船で脚を伸ばしながら思ったこと。今宵は何を思うのだろう。