少し湿り気を帯びた朝に季節が10月に入っていることを知らされる朝。9時台から、いつもの映画館の定番となった最小シアターで、映画『ポルトガル、夏の終わり』を観た。
ポルトガル、夏の終わり、いずれの素敵なキーワードが含んでいるタイトル、それだけでも期待はそそられていた。
(以下映画館作成のあらすじ)
女優のフランキーがポルトガルのシントラに家族や親友を呼び寄せる。死期を悟った彼女は、愛する者たちのこれからを案じてある計画を立てていたが…。深い森と麗しい海に恵まれた世界遺産の町を舞台に繰り広げられる、儚くも美しい家族劇。イザベル・ユペールと欧米の実力派キャストが、筋書き通りにはいかない人生というドラマの不思議を奥行き豊かに演じる。
というもの
それまで、華々しく活躍してきた主人公の晩期の悲哀をポルトガルの景色や海に優しく投影し受け止めてくれている、そんなような描写だった。そこに集まる家族やその恋人、それぞれが抱える問題も、主人公の辛さや苦しみを色濃くさせてもいるように見えた。
その一方で、青くて白い海辺の建物や、こがね色とも鈍(にび)色ともつかない、夏の終わり、夕方前の海の色が、穏やか心にさせる対比ともなっていた。
進み始める秋の入り口に、少しだけ夏の残像を思い出させる映画に観た。