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日々の気づきと雑感 食べもの、映画、本に天気が多いです

四半世紀ぶりの課題図書を読了する。湯本香樹実著『夏の庭』

暑い予報の今日は、その前に近所を20分ほど早歩きして目覚めさせる。シャワーを浴びて🚿サッパリしたら、エイやと文庫本を手に取り読み始める。

湯本香樹実の『夏の庭』を読む。

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25年とちようど半年前に買ったことが、末尾に記載してある。発行から半月もたたない初版本。当時は、目につけば買っていた時と思い出す。

以来、夏が来るたび、まるで読書感想文の課題図書のように、読もう読もうとしていたものをやっと手にした。確かに夏の文庫本フェアには、登場児童文学に類され登場するもの。

今日の暑さを逃したら、今年の夏はもう読まないような気がしたから。だろう。

小6男子三人組が、死に対する興味が湧き、老人の観察から始まり交流に変わり、それでも最後は亡くなるまでの出来事と、その年の卒業までを描いたもの。死を意識する事で生を意識していたものが、生を意識して生を意識するのに変わり、最後は生と死が混在する中で、生と死をそれぞれ理解できるように変わっていく様を、ひと夏の出来事をキッカケに描いたもの。

『変化にも『いい変化』と『悪い変化』があるだろう。ほくの手足がやたらとひょろひょろ伸びるのは、きっと『悪い変化』だ。』

『あんなにたくさんの妖怪やお化けを、人間は想像したり、名前をつけたり、絵にかいたりする。それは、正体がわからないものがいちばんこわいっていう証拠だよ。はっきり姿を決めて、名前をつけてしまえば、お化けってこういうものだとわかる。わかってしまえば、少しはこわくなくなる。そうじゃないか?』

『そうすることができないのは、すごくさびしい。心細い。だけどそれは、結局はぼくの問題なのだ。おじいさんは、充分、立派に生きたのだ。おじいさんの白い骨が、ぼくにそう教えてくれている。ほんとうに、めいいっぱい生きたのだ、と。ぼくもがんばるよ、ぼくはおじいさんに、心のなかで話しかけていた。』

『だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。それってすごく心強くないか!』

和製『スタンドバイミー』と評されることもあるが、夏が舞台で三人組の死への興味からの始まりというあたりは確かに似ている。映画は観ていて、書店でそんなポップもあったから手に入れたのかもしれない。

中一の夏に、祖母が亡くなった時の事を思い出した。少し似ていた。感じるものは、だいぶ似ていた。生きるではなく、生き"切る"ことの大変さと大切さを改めて感じた。

読み終えれば、長いあいだ放置していた夏休みの宿題が、やっと終わったように感じた。

今日が暑い日で良かった。